青森県にある「キリストの墓」に世界中のクリスチャンが仰天!

キリストの墓が日本にあるという。イエスは日本で亡くなった。そっち方面が好きな人にとっては常識らしい。キリスト教は20億人以上が信じる地球上で最大の宗教。そんな軽々しく扱える話ではないが、「なんでもアリ」と言える日本人の宗教観を、これほどハッキリ示す事例はないのではないだろうか。編集部は急きょ現地に向かった。

 

笑い飛ばせないホンモノ感

 英国の国営放送BBCや、米国のニュースサイトが取材に訪れたことで、青森県三戸郡新郷村大字戸来にあるキリストの墓は世界中に知られることになった。

 東北新幹線「七戸十和田駅」から国道4号線を30分ほど走り、三戸を目指して国道454号線に入る。山間の1車線の田舎道はほとんど対向車が来ない。長閑な風景を見ながら30分ほど走ると、キリストの墓を示す道路標識が出てきた。行政が関わっている証である。

 観光地のものと呼べるレベルではないが、5台ほど止められる駐車場があり、そこから100mほど緩やかな坂道を歩き、ヘアピンカーブのように折り返して今度は急勾配を100mほど息を切らしながらのぼる。すると100m×50mの平坦なスペースが現れ、20段ほどの階段を上がるとキリストの墓があった。向かい合うようにイスキリの墓もある。そのふたつの墓が「重要な文化財」であることを醸し出すプレートが階段下に立てられ、解説文が記されていた。

「キリストの墓」

 イエスキリストは二十一才のとき日本に渡り十二年間の間神学について修業を重ね三十三才のとき、ユダヤに帰って神の教えについて伝道を行いましたが、その当時のユダヤ人達は、キリストの教えを容れず、かえってキリストを捕らえて十字架に磔刑に処さんと致しました。

 しかし偶々イエスの弟イスキリが兄の身代わりとなって十字架の露と果てたのであります。他方、十字架の磔刑からのがれたキリストは、艱難辛苦の旅をつづけて、再び、日本の土を踏みこの戸来村に住居を定めて、百六才長寿を以って、この地に没しました。この聖地には右側の十来塚にイエスキリストを、左側の十代墓に弟イスキリを祀っております。以上はイエスキリストの遺言書によるものと謂われております。」

 そのほか、キリストとイスキリの墓のあいだには赤茶色の立派な石のプレートが埋められており、「この石はイスラエル国、エルサレム市と新郷の友好の証としてエルサレム市より寄贈されたものである。」と刻まれていた。オフィシャル感満載である。

 

ニッポン人らしい向き合い方

 このキリストの墓がある戸来の「ヘライ」は、ヘブライが由来だという説がある。さらに、子供の額に十字を描く風習が残っていたり(魔除けのため。幸運のため)、赤ちゃんを丸いカゴに入れたりするのがヘブライの習慣と似ているといわれる。地元戸来小学校の校章はダビデの星と同じ形で籠目だ。ほかにも数々の「証拠」があり、偶然の一致とは言えない様相である。

 ただ、やはりニッポン人。これがあのキリストの墓であろうとも、地元の人々にとってはワン・オブ・ゼム、なんら特別感はない。キリストとイスキリの墓の前にはそれぞれお賽銭箱のような入れ物が置いてあった。まさにそのへんの小さな神社のような風景で、入っていたのは10円玉や5円玉といった小銭が10枚ほどだ。またキリストの墓の隣に建っている「キリストの里伝承館」には、観光地によくある、顔の部分がくり抜いてあるボードが置かれ、思い出の写真が撮れるようになっていた。このふたつの墓の向かい側には、キリストの墓が建っている土地の所有者・澤口家の墓があるのだが、墓石は黒御影の日本の一般的なお墓だ。ちなみに澤口家はクリスチャンではなく仏教徒だと、家族がBBCの取材に答えている。

 極めつきは、毎年6月の第一日曜日に開催される新郷村観光協会主催の「キリスト祭」。1964年から52回続いているこの祭りでは、キリストの墓のまわりで盆踊りを踊り、獅子舞が披露される。もちろん神主がやってきて祝詞奏上や玉串奉奠などの神事も行う。訪れた観光客は地元の特産品を売るお店を巡り、イワナの塩焼きを頬張り、鶏汁に舌鼓をうつ。まさにニッポンの祭りだ。キリストの前でこれはスゴい!(狼藉か?)

 編集部は次回、この田舎の夏祭りに訪れることを誓い、新郷村を後にした。

 

 

※本文内に含まれる情報は『JAPAN CLASS 第6弾』発売時(2016年6月刊)のものです。

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